Web3.0 Journey! Episode 06 : どうしてWeb3.0という発想に至ったのだろう?

*本記事は連載記事「Web3.0 Journey!」の第7回目です

過去記事はこちら
>>Web3.0 Journey! Episode 05 : ARアイデンティティ
>>Web3.0 Journey! Episode 04 : 落合陽一 サマースクール 2023 - 岩手町編 -
>>Web3.0 Journey! Episode 03 : 行動実績証明NFT+サイキックNFT
>>Web3.0 Journey! Episode 02 : NFTアート作品購入という体験
>>Web3.0 Journey! Episode 01 : 開かれた、扉
>>Web3.0 Journey! Episode 00 : それぞれが輝く、希望と可能性溢れる世界へ


私にWeb3.0の世界を教えてくれた方がいて、初めて話を聞いた時に思わず言ったことがある。

"もっとその分野の人が「こんな世界になるよ」という世界観の方を伝えてくれると嬉しい。なぜなら(Web3.0は)耳慣れない言葉が多すぎて、本質を知ろうとする前に「よくわからない」で止まってしまうから。世界観に共感するから人は興味を持つんだと思う"


その投げかけに返ってきた言葉は、

「それだと今までと何も変わらなくて、もっとみんなが自分で考えられるようになって欲しい。」

正直、「え?」と思った。

今思えば私の視点が低すぎた。

(穴に入りたい)

Web3.0 Journey! を始めて1年少し。

様々な体験をしていく中で感じていたことは、Web3.0社会は自分で考えて行動することがものすごく重要になってくる世界だと。

だからもしかすると「自分で考えられるようになって欲しい」という言葉の真意は、

自分で考えて行動することが必要になる世界だから、もっと主体性を持つようになって欲しい

だったのかもしれないな。

今度機会があれば聞いてみようと思う。

どうやらDIIさんがまた興味深い実証実験を始めようとしているみたいです。

その実証実験では新たな学びがありそうなので、その前に改めて「Web3.0とは?」について考えてみたいと思います。



というのも実はずっと悩んでいることがありました。

その悩みというのは、例えば身近な人から「Web3.0って何?」と聞かれた時に、何を・どこから・どう伝えれば良いのか、上手く表現できない自分にもどかしさを感じていたことです。

「Web3.0」という言葉だけで説明するなら、分散型技術を活用し、よりプライバシー重視で透明性のあるインターネット環境を実現する次世代のWebの使い方、になると思います。

*分散型技術:ブロックチェーン技術やピアツーピア(P2P)ネットワークなどを活用し、中央集権的な機関や管理者に依存せずに、複数のノード(ネットワーク上のコンピュータ)が協力してデータを管理・処理する技術


【Web1.0】
インターネット初期の時代。
企業やメディアが情報を一般の人々へ向けて発信していた。ユーザーは主に情報を受け取ることに焦点を当て、ホームページを閲覧するなどの活動が一般的だった。

【Web2.0】
ユーザー参加型の時代。
SNS の普及によりユーザーは情報を受け取るだけでなく自らも情報を発信できるようになり、情報の交換・共有によってコミュニケーションを活発に行うようになった。

【Web3.0】
自己主権の時代。
分散型技術やブロックチェーンを活用し、企業やプラットフォームに依存せず、ユーザー自身が自己管理を行うことが可能になる。



けれど、このような伝え方をすることに違和感を感じていました。

言葉の説明だけだと本質的なところは見えないし、伝わらないと思っていたからです。

それよりもWeb3.0になることで、

自分たちの生活がどのように変化するのか?
どんなことができるようになるのか?
どんな世界が繰り広げられるのか?

イメージが湧くような世界観の方を伝えた方が良いよね…と思っていたのですが、この世界観についても私の主観が入ってしまうことに気づき、どうしたものかと悩んでいました。

しかしWeb3.0社会が主体性を持って行動することが重要になる世界だとするなら、もしかすると世界観を知る以前に「なぜ人はWeb3.0という発想に至ったのか?」を理解することがまずは大事なんじゃないか?と思うようになりました。

このような考えに至るきっかけとなったのは、先日行われたARアイデンティティにおけるフランス展開のミーティングに同席し、議論の中で「概念」の話が中心にあったことを目の当たりにしたからだと思います。

*>>ARアイデンティティ記事




Web3.0の発想や考え方を理解することで、その後の世界観や実用性をより深く理解できるようになり、自分自身の生活に当てはめて行動できるようになるのでは、と。

なので今回は「そもそもなぜWeb2.0からWeb3.0へと発想が進化したのだろう?」というところを私自身改めて学び直したいと思います。

インターネットの技術と社会の変化に伴って生まれた発想の進化


私たちはWeb2.0全盛期を生きていますが、代表的な社会現象としてはSNSの普及と影響力の増大だと思います。

皆がスマホを持つようになり、人々は常に持ち運べるインターネット接続デバイスを手に入れ、ソーシャルメディアやコンテンツの利用が拡大しました。

モバイルアプリを通じて、Instagram、X(旧称:Twitter)、Facebook、YouTubeなどのソーシャルメディアプラットフォームが利用されるようになったことで、個人の発信力は高まり、ユーザー同士での情報の拡散や共有などコミュニケーション手段も多様化しました。

SNSの普及という視点から見ただけでもWeb2.0時代に私たちが受けた恩恵はとても大きいように思います。

一方で個人のデータが商業目的に利用されることが増え、プライバシーの問題が深刻化しました。

多くのソーシャルメディアプラットフォームでは、サービス提供者がユーザーのデータを管理・コントロールし、SNS上での行動履歴や興味、個人情報などが収集・分析され、広告のターゲティングや個人に合わせたコンテンツが提供されるようになったからです。

そのため個人のデータが第三者に漏洩するリスクや、個人情報を不適切に利用される可能性も懸念されるようになりました。

このような問題に対して、個人データ保護の規制が進められ、2018年5月にはEUで施工されたGDPR(General Data Protection Regulation)が登場しました。

*GDPR(General Data Protection Regulation):EU市民の個人データ保護を強化し、企業やサービス提供者によるデータ収集と利用を規制するもの


当時私はフランスに住んでおり、ちょうどこの規制が施工される直前日本に一時帰国をしていました。

その時ダウンロードしたアプリがあるのですが、フランスへ戻ったのがたまたま施工された翌日で、そのアプリが使えなくなるということを経験をしました。

この時は「なんか個人情報の扱い厳しくなったんだな」くらいにしか思っていなかったのですが、今思うと個人情報についてリテラシーの低かった私が初めてその扱いに意識を向けた出来事だったように思います。



個人データ保護の問題を別の角度から考えてみると、例えばYouTubeで「banされる」とか、SNSのアカウント(ID)が停止されたとかって耳にすることあるじゃないですか?

YouTubeやその他SNSなどの中央集権型プラットフォームでは、個人のデータがプラットフォーム側によって管理・コントロールされているため、プラットフォーム側がユーザーのデータを利用・保管・削除する権限を持っています。

*Web2.0における中央集権型:Web上のサービスやプラットフォームの運営において、データやコントロールが一つの中心的な組織やサーバーに集中している状態


けれどそもそも投稿しているデータって個人のものだよね?

じゃあそのデータの扱いに関してもプラットフォーム側ではなく個人に権限があるべきだよね?

という疑問が生じてきます。

こうした問題点を解決するために、分散型の技術やブロックチェーンを活用して、個人が自らのデータを管理し、プラットフォーム側に依存しないデータ主権を持つことが可能になるようにWeb3.0という発想が生まれたのかと。

個人のデータは中央のプラットフォームに集中して保存されるのではなく、個人自身がデータの所有者として、自由にコントロールできるようになる。

そういった社会がこれからは描かれていくのではないでしょうか。

私たちがWeb3.0の世界に向けて進むにあたって、大切なのはその発想に至った背景を理解し、Web2.0とは異なる考え方に目を向けること。

個人がデータの主権を持ち、プラットフォームに頼ることなく自己主権でアプローチできる未来は、真の自己表現と自己実現の場を提供してくれるのだと思います。

そして止まることなく進み続ける冒険の旅「Web3.0 Journey!」を通して、私自身まだ知らない未知の領域を、多様なアイデアや視点とともに成長していけるよう努力したいと思っています。

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