*本記事は連載記事「Web3.0 Journey!」の第8回目です
過去記事はこちら
>>Web3.0 Journey! Episode 06 : どうしてWeb3.0という発想に至ったのだろう?
>>Web3.0 Journey! Episode 05 : ARアイデンティティ
>>Web3.0 Journey! Episode 04 : 落合陽一 サマースクール 2023 - 岩手町編 -
>>Web3.0 Journey! Episode 03 : 行動実績証明NFT+サイキックNFT
>>Web3.0 Journey! Episode 02 : NFTアート作品購入という体験
>>Web3.0 Journey! Episode 01 : 開かれた、扉
>>Web3.0 Journey! Episode 00 : それぞれが輝く、希望と可能性溢れる世界へ
前回の記事「Web3.0 Journey! Episode 06 : どうしてWeb3.0という発想に至ったのだろう?」では、Web3.0の発想や考え方について改めて学び直してみました。
自己主権の時代。
"個人のデータは中央のプラットフォームに集中して保存されるのではなく、個人自身がデータの所有者として、自由にコントロールできるようになる。
そういった社会がこれからは描かれていくのではないでしょうか。"
この理解がある流れの中でもう1つ、学び直したい、理解を深めたいと思う重要なテーマがあります。
それは「SSI (Self-Sovereign Identity) - 自己主権型アイデンティティ」です。
今年の初め、私は放送大学のソーシャルシティ講義に参加し、その中で「まちと人をつなげる技術」の一環として、自己主権型アイデンティティについて学びました。
この自己主権型アイデンティティ(SSI)を学んだことで、Web3.0についての理解が一層深まったので、この記事ではその重要性と未来について探求していきたいと思います。
*
自己主権型アイデンティティ(SSI)とは?
Web3.0の世界を学びながらよく思うのは、
初めて耳にする言葉が多すぎる!
NFTとか、SSIとか、略語も多すぎる!
ゔっゔっ
この「言葉」でつまづき、それが何なのか知ろうとする前にあきらめてしまう方っていると思うんです。
(以前の私)
けれどこれらの新しい用語や略語は、私たちのデジタル未来を形作る重要な概念を指しています。
なので、自分事として受け取り、何とかがんばって一緒に学んでいきましょう!
*
ではまず始めに、アイデンティティについて共通の理解をしていきたいと思います。
アイデンティティとは、自分が何者であるか他者と区別すること。
具体的な例として、
【物理空間におけるアイデンティティ】
パスポートや運転免許証などで示すことができます。
*これらのようなアイデンティティを証明する物は発行機関が管理しており、こういった第三者が管理していることを中央集権型と言います
【デジタル空間におけるアイデンティティ】
ソーシャルメディア(X : 旧称Twitter、Instagramなど)では、個人を特定するための「識別子(ID)」と、そのID情報に紐づく「属性情報」によって成り立っています。
ID : XのアカウントID
属性情報:プロフィールや投稿内容
ここから本題に入っていきます。
このデジタル空間におけるアイデンティティについても、これまで自己主権ではないカタチで社会に実装されてきました。
つまり自分ではない第三者によってIDが管理されるということです。
どういうことかというと、
例えば XのアカウントIDはXが管理しています。
そのため、XのIDでInstagramを利用することはできません。
Instagramを利用したいとなった場合は、InstagramでInstagramのIDを新たに作る必要があります。
このように、デジタル空間におけるアイデンティティは企業別に分断されており、(ユーザー自身ではなく)企業によって管理されたIDは、サービス・プラットフォームを越えて管理することができません。
そして企業がIDを管理しているため、利用しているサービスの企業が何らかの理由でそのサービスを終了した場合、ユーザーのIDは引き継ぐことができません。
前回記事にも書いた「banされた」とか、「アカウント停止になった」とか耳にするのも、管理しているのがユーザーではなく企業側だからです。
このような第三者が管理するデジタルアイデンティティの課題に対して生まれた概念が、
SSI (Self-Sovereign Identity) - 自己主権型アイデンティティ
それは、個人が管理機関を介さず自身のアイデンティティを所有し、自身で管理すべきであると認識するデジタルムーブメント。
第三者によってIDを管理されるのではなく、ユーザー自身がIDに主権を持ってデジタルアイデンティティを確立することを目的とした概念です。
自分のアイデンティティは自分で所有し、自分でコントロールできるようにしようよ!
ということですね。
このような自己主権型のアイデンティティを実現すべく、現在、様々な技術的アプローチが試されているところなのですが、言葉の説明だけでは想像がつかない人もいるはず。
私もその1人。
なので実際に友人と共に体験してみました。
*
自己主権型アイデンティティを体験してみる
この記事が掲載されているDIIさんのウェブサイトは、Web3.0仕様になっています。
今みなさんが読んでいるこの記事の右下に「ログイン」ボタンがあると思います。
そして右上には、SNSにシェアするためのボタンと拍手ボタンが見えます。
実際にログインボタンを押してみます。
するとこのような画面が出てきます。
ウォレットへの接続を求める画面
ここがこれまでのサービスと大きく違うところです。
今までも、今も、サービスを利用する際にログインするのは、そのサービスのアカウントに対してでした。
例えば、Amebaブログの記事を読んでいいね!を押したいと思ったとします。
その場合、Amebaにログインする必要があり、AmebaのIDを持っていないとそのサービスを利用することができません。
しかしこのサイトのログインは、ウォレットに対して求めています。
ウォレットとは、Web3.0における自分自身のIDを指します。
*わからない場合は「入れ物」だとイメージしてみると想像がつきやすいかもしれません
つまり、ウォレットというのは企業が管理するIDではなく、自分自身で管理、コントロールができるIDです。
DIIさんのウェブサイトで利用されているウォレットは「unWallet(アンウォレット)」という名前のウォレットです。
*ウォレットにも様々な種類があります
ログインしてウォレットに接続を求められるというのは、自分自身のIDに直接接続するということ。
そしてこのunWalletはウォレットを持っていない方でもこの画面から進むと簡単に取得することができます。
実際一緒に試した私の友人は、ウォレットを持っていませんでしたが、GoogleもしくはApple IDを持っていれば取得可能なので、そのまま指示に従ってウォレットを取得しました。
*ウォレットを持つことがWeb3.0の世界に入る第一歩
ウォレットを取得、もしくは既にunWalletをお持ちの方はログインすると画面がトップページに切り替わります。
このログインした状態で再び記事に戻り、拍手ボタンを押してみるとどうなるか?
(ログインなしでも拍手は可能)
「拍手をした」行為がNFTのバッジとしてウォレットの中に入ります。
*拍手ボタンを押して取得するバッジシステムについてはこちら
これが今私たちが使っているSNSと何が違うのか?を、先述したXで例えてみます。
Xの場合、以下の情報から個人を識別します。
属性情報:プロフィールや投稿内容
そしてつぶやいた内容はフィードに残り、その記録から、その人がどんな価値観を持ってるかその人自身のアイデンティティを読み解くことができます。
しかしその活動履歴が残るのはXのIDのみ。
一方で、Web3.0におけるIDであるウォレットは、サービス(企業)を越えて1つのIDでサービスを利用することができ、そこでの活動・行為がNFTというカタチで記録に残ります。
そのため、取得したNFTからその人がどんなアイデンティティや価値観を持っているのか読み解くことができます。
私が以前からウォレットは「自分自身を表現するもの」と言葉にしているのはまさにこの理由があってのことなのです。
以上のことから、自己主権型アイデンティティとは、個人が自身のデジタルアイデンティティを完全に所有し、自分でコントロールできる仕組みや概念です。
このアイデアは、従来の中央集権的なアイデンティティ管理に対し、新たな選択肢として個人のプライバシーとセキュリティを重視し、個人がデジタル世界でより自律的に行動できるようにすることを目的としたもの。
なんとなくでも掴めた感覚はあるでしょうか?
そうであると嬉しいです。
*
現在、Web3.0およびSSIの導入は実証実験段階にあり、まだ多くのウェブサイトで活用されていないため、実感を得る機会は少ないです。
しかし、将来、Web3.0に準拠したウェブサイトが増えてくることで、個人は一つのID(ウォレット)で複数のサービスを利用し、その活動履歴が安全に記録され、利用者のアイデンティティと価値観をより詳しく表現できるようになる未来がやってくると思います。
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