Web3.0 Journey! Episode 08 : ウォレットと会話する未来

Web3.0 Journey! Episode 08 : ウォレットと会話する未来

by 草生 慶子

*本記事は連載記事「Web3.0 Journey!」の第9回目です

過去記事はこちら
>>Web3.0 Journey! Episode 07 : SSI (Self-Sovereign Identity) - 自己主権型アイデンティティ
>>Web3.0 Journey! Episode 06 : どうしてWeb3.0という発想に至ったのだろう?
>>Web3.0 Journey! Episode 05 : ARアイデンティティ
>>Web3.0 Journey! Episode 04 : 落合陽一 サマースクール 2023 - 岩手町編 -
>>Web3.0 Journey! Episode 03 : 行動実績証明NFT+サイキックNFT
>>Web3.0 Journey! Episode 02 : NFTアート作品購入という体験
>>Web3.0 Journey! Episode 01 : 開かれた、扉
>>Web3.0 Journey! Episode 00 : それぞれが輝く、希望と可能性溢れる世界へ


こんにちは!

以前こちらの記事の中で、DIIさんが興味深い実証実験を始めようとしていることに触れました。

「Web3.0 Journey! Episode 06 : どうしてWeb3.0という発想に至ったのだろう?」

今回はその実証実験の内容が情報解禁となりましたので、具体的にどんなことをしようとしているのか、ここでシェアしたいと思います。

*電通グループとTOPPANホールディングス、Web3.0ウォレットにフォトリアルアバターをUIとして適用する世界初の実証実験開始

今年の6月、大阪にある近畿大学へ伺ってきました。

訪れることになった理由は、このサイトの運営者でもあるDIIさんがWeb3.0領域でこれから取り組もうとされる実証実験をするための「交渉の場を拝見する」という貴重な機会を頂いたからです。

「個人の体験を価値化」するWeb3.0サービスの社会実装に向け、ODKソリューションズと共同研究を開始


なぜ近畿大学なのか?

というところなんですけど、近畿大学では2023年度の新入生から全員がウォレットを持ち、学生生活における体験をNFTで発行〜デジタルで証明するという実証実験を開始されたからなんです。

それぞれの学生の頑張りや活動実績を留学や進学、就職に活かすため。

*大阪キャンパスだけではなく全国にある近畿大学の全新入生が対象なので、約8000人の学生がウォレットを取得している


この話を聞いた時「ついに行動実績証明のNFTが社会で活用されることへの現実味が帯びてきた!」と思いました。

というのもですね、この連載が始まった当初からずっと言い続けてることなんですけど、私は「個人の体験や経験が価値になる世界(社会)」の実現へ強い関心があります。

そのため過去には個人の学びや活動実績をNFTでデジタル化する実証実験「落合陽一サマースクール」にも参加しました。

当時は卒業証明のNFTを取得したことで「この先どうなるんだろ〜!(わくわく)」と思っていたわけですが、私の場合、この時取得したNFTは「ただ持ってるだけ」になってしまったんです。

取得したは良いけれど、持っているだけではなく、それをどのように活用すれば良いのか?その方法は?というところを常々知りたいと思っていました。

そういった想いもあったので、近畿大学が行なっている実証実験はまさに私の求めていた実際に活用できる場であったので、とても興味を持ちました。

ウォレットと会話する未来


近畿大学へ向かう途中、今度はどんな実証実験をしようとしているのか聞いてみたんです。

なぜなら先述したように学生は既にウォレットを持っていて、学生生活での体験がNFTとして発行され、活動実績がデジタルで証明されるという実証実験はもう始まっているのですから。

すると返ってきた言葉は、

「ウォレットと会話するようになるんです」

「その置き場所を相談しに行きます」





ドユコト???



言葉だけだと私の理解が追いつかなくてですね。

ウォレットと会話する?

そもそもウォレットってスマホに入ってるじゃん。

どうやって会話するの?

それに置くって何!?

こんな疑問が脳内を飛び交っていました。


そこから詳しく話を聞いてみると、なんかウォレットが次のステージに入りました!みたいな印象を受けたんです。

どういうことかというと、例えば私にとってウォレットとは、自分自身のアイデンティティが詰まったものです。

その人の価値観そのものが詰まったものであり、このウォレットを通して当人がどんな価値観を重視しているのかを読み解くことができる、まさに自分自身を表現するもの


この自分が持っているウォレットを、(学内に)設置されるウォレットと接続することで、自分自身が浮かび上がってくる。

例えば下図のようなモニターが接続できるウォレットだとして、画面上にもう1人の自分(AI)が現れるようなイメージです。


*イメージ


さらにこのもう1人の自分(AI)にChatGPTのような会話ができる機能が組み込まれるとするなら「ウォレットと会話する」ということが成立するんです。


今回この実証実験を始める意図を担当の方に伺ってみました。

"例えば親にも友人にも、学校の先生にも相談するところまではいかないような自分自身の中で固まっていないことってあったりするじゃないですか?それを人にはまだ言えないけど、自分のことを理解している人がいたら相談できそうじゃないですか?"


そして相談できるだけではなく、もう1人の自分(AI)はウォレットであるため、取得したNFTにより今まで自分がどんな活動をしてきたのか、どんな価値観を持っているのかを知っています。

そのため保有しているNFTから私という人間を読み解き、例えば就職なら、

「こんな仕事が向いてるんじゃない?」

「こういった会社があるよ」

とか、

「こんなことやってみたらどう?」

みたいに、自分以上に自分のことを俯瞰して見てくれることで、1人では気づきもしなかったような才能や道が開ける可能性があります。

この俯瞰して見てくれるってすごく大事だと思っていて、というのも案外私たちは「世間が良いというから」みたいな基準でなりたい自分像や仕事を無意識に選んでしまうところがあると思うんです。

(もちろん自分の好きなことが明確にわかっていて、そこへ真っしぐらに進める人もいます)

でも世間が良しとするもの・ことが自分にとってのど真ん中ではないかもしれない。

そう思った時に、学生生活を通して様々な経験で得た実績をもとに、ウォレットが相談にのってくれたり、アドバイスをくれるってめちゃくちゃ良いなと思うんです。

それに卒業後の進路だけではなく、学生生活における人間関係の相談もできますよね。

もしかしたら「きっとこの人と気が合うと思うよ」なんて紹介してくれたりして、友人関係が広がるきっかけになるかもしれません。

特に近畿大学は全国にいくつかキャンパスがあるので、自分の通っている学内だけではない場所で繋がりができる可能性がある。

そういった理由からもこの大学で「ウォレットと会話する」という実証実験を行う意味はとても大きいなと思いました。

近畿大学で展開されるこの革新的なプロジェクトが、今週から動き出すようです。

私はこの新しい取り組みを直接体験し、得られた学びを皆さんと共有するため現地を訪れる予定です。

なので次回の記事では、この現場での体験と見聞きした最新情報をお届けしたいと思っています。

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