Web3.0 Journey! Episode 10 : DAOが拓く未来

*本記事は連載記事「Web3.0 Journey!」の第11回目です



こんにちは!

ついにこの時が来てしまいました。アレを勉強する時が…

そうです、アレとは、




DAOだっ!



(出ました略語)




もう2年も前になりますが、当時私の周りにはWeb3.0について話せる人がいなかったので、世界ならいるだろうと、世界中のクリエイターが参加しているDAOに入ってみたんです。

しかもそのDAOは、加入するためにいくつかの質問に答えて申請する必要があり、審査を終えて加入したにも関わらず、そのまま放置〜何も行動をしなかったという苦い過去があります。(審査がないDAOも多く存在します)

Web3.0 Journey! では自身の体験や、その経験から感じたことをリアルタイムで書いているのですが、先述したような過去もあり、私自身実際に活動したわけではなかったので、これまでDAOについては触れることができませんでした。

ではなぜ今、このタイミングでDAOについて書こうと思ったのか?

それは、今年も開催される「落合陽一サマースクール」において、興味深い情報を目にしたからです。

"電通グループが、落合陽一氏が代表を務める国内初のDAO法人と共同研究を開始した"

この研究では、メンバーシップNFTを活用したコミュニティ運営やインセンティブ提供、教育就労支援の可能性が探求されています。 *詳細はこちらでご覧いただけます。



記事を読んでみると、サマースクール主催者であるTable Unstableが国内初のDAO法人になったことを知りました。

つまりサマースクールの卒業証明のNFTを持つ卒業生やこれから取得する方々は、DAOの一員になるということです。

なので、今回は改めてDAOを学ぶと共に、DAO法人というこの新しい形態についても理解していきたいと思います。

そして疑問に思うことが出てきたら、サマースクール参加時に現地で関係者の方に話を伺ってみようとも思っています。

では今回も一緒に学んでいきましょう!

DAOって何?



DAO法人について学ぶ前に、「そもそもDAOとは何か?」から始めたいと思います。

DAOとは「Decentralized Autonomous Organization」の略で、「分散型自律組織」と訳されます。

#ディセントラライズド・オートノマス・オーガニゼーション
#Web3用語は略語が多い
#分散型自律組織ってなに

これは、参加者全員が等しく意思決定に関わることができる新しい組織形態を指します。

「えっ全然わからない!」という方も安心してください。

私もすぐには理解できなかったので、少しずつ説明していきます。


DAOとは中央管理者不在の組織


私たちに馴染みのあるWeb2社会における組織を△、Web3社会の組織を◯で考えるとわかりやすいと思います。

例えばWeb2社会の組織、一般的な会社では、経営層が重要な決定を下し、その情報が段階的に従業員に伝えられる△の世界です。

コミュニティなどもそうですね。
主催者が内容や方向性を決定し、参加者はそれに従う感じです。




それに対してWeb3社会の組織 (DAO) というのは、トップダウンの構造が存在しません。

全メンバーが重要な意思決定プロセスに参加し、投票を通じて意見を反映させるという、対等な関係の◯の世界です。

つまり参加者全員が組織の未来を形作るプロセスに直接関与し、影響を与えることができる環境なのです。


投票権:ガバナンストークン


そしてこの投票には、ガバナンストークンと呼ばれる投票権を使います。


【トークン】
デジタル資産や特定の権利を表すデジタルの証明。ブロックチェーン技術を使用して、安全に取引や保管が行えるよう設計されています。

【ガバナンストークン】
DAO内での投票権を持つデジタルトークンのこと。
これを保有する人々をトークンホルダーと呼び、DAOの方針決定に直接参加することができます。



このガバナンストークンは、その場に貢献した報酬として得るか、暗号資産取引所で購入することもできます。

私が参加したDAOでは、審査を通過し、指定のトークンを購入することで公式メンバーとなりましたが、活動を開始していないため、私はこのガバナンストークンを持っていません。

ただし、発表されたDIIさんの記事によると、サマースクールでは卒業証明のNFT保有者にTable Unstable DAO合同会社のガバナンストークンとして機能するメンバーシップNFTが発行されるようです。

これについては今回のサマースクールで直接聞いてみたいと思っています。

そしてこの投票権というのは1人1票というわけではありません。

場への貢献の報酬としてガバナンストークンが配布されるように、人それぞれ保有している数は異なり、保有分の投票が可能です。

たとえば、私が参加したようなアート系のDAOでは、アーティストやクリエイターが集まり、共同でアートプロジェクトの資金を集め、投票を通じてプロジェクトの選定から資金の配分まで決定します。

このプロセスは、従来のアートファンディングやプロジェクト運営とは異なり、より民主的で透明性が高いものになります。


組織運営の透明性の高さ


DAOの特徴の一つに「透明性」があります。

この透明性は、スマートコントラクトという技術によって支えられています。

【スマートコントラクト】
あらかじめ定義された条件が満たされたときに自動的に実行されるプログラム。

これはブロックチェーン技術を利用して実装され、契約の条件がコードとして記述されています。そのため、スマートコントラクトは透明で、改ざんが困難であり、第三者の仲介なしに取引が完了できるという特徴があります。

(例)
ある商品の販売にスマートコントラクトを使用する場合、買い手が支払いをすると、スマートコントラクトは自動的に商品を解放し、売り手に代金を送金します。

このプロセスはブロックチェーン上で行われるため、関連するすべてのアクションは記録され、追跡可能です。

Web2の世界では、例えばAmazonで商品を購入する場合、買い手と売り手の間にAmazonが仲介役として入ります。

しかし、Web3ではスマートコントラクトを用いることで、Amazonのような第三者を必要とせず、直接的かつ自動的に取引が行われるのです。



このように、手続きが自動化され、誰もが規則を確認できるため、透明性が保たれるのです。

ただし、スマートコントラクトの採用にはいくつかの課題もあります。

たとえば、意思決定の遅延や、法的な確定性が未整備であるという点が挙げられます。

これらの課題を理解し、適切に対応することが、DAOの透明性を維持しつつ、効率的かつ効果的に運営する上での鍵となります。




つまり、DAOとは中央管理者がいない自律的かつ分散型の組織形態で、メンバー全員が重要な意思決定に参加することができます。

このような構造は、個々の価値観や目標を共有するニッチなコミュニティにとって、とても魅力的なことだと思います。

なぜなら、各メンバーが等しく責任を持ち、組織の方向性を形成することが可能だからです。

実際、私が参加したDAOでは、共有する価値観に合うかどうかを判断するための審査がありました。

当時は「何で審査が必要なのだろう?敷居を高くしているのかな?」と思っていましたが、今思えば、それがメンバーが組織に真にコミットしているかを確認する重要なプロセスだったことが理解できます。


また、ガバナンストークンを用いることで、貢献度に応じた投票権が与えられ、より公平で透明な運営が実現します。

スマートコントラクトの技術を利用することで、取引や決定が記録され、追跡可能となり、透明性が一層強化されます。

これにより、従来の組織運営における多くの中間管理業務を削減し、効率的な運営が可能となるのです。

DAO法人って?


さて、DAOについて大枠がわかってきたところで、法人と何が違うの?というところを学んでいきたいと思います。

大きな違いは、法的地位と責任の所在にあります。

DAOは特定の法的地位を持たず、メンバー間での合意に基づいて運営されます。

そのため、法的な保護や責任の所在が不明確なことが多いです。

(メンバーが匿名で活動することが多く、個々の法的責任が限定的であるため、信頼性を確保するにはチャレンジがあった)


それに対してDAO法人は、通常の法人と同様に法的な地位を持ちます。

サマースクール主催者の「Table Unstable DAO合同会社」のように、特定の国の商法や法律に基づいて登録され、法人格を有しています。

これにより、外部との契約など法的行為が可能になり、より明確な責任の所在が確保されます。

(法人として登録されているため、法的責任を負い、外部の投資家や取引先からの信頼を得やすい)

さらに、法人化することで、DAOはより広い範囲の活動や大規模なプロジェクトにも参加しやすくなり、法的な保護とともに信頼性を高めることができます。

Table Unstableが国内初のDAO法人になったことにより、今後の取り組みが発表されました。

・メンバーシップNFTを用いた同窓生コミュニティ運営の可能性検証
・メンバーシップNFT保有者に対する第三者からのインセンティブ提供の可能性検証
・メンバーシップNFT保有者に対する就学就業支援サービス提供の可能性検証

*詳細はこちらでご覧いただけます。



この場合のメンバーシップNFTというのは、年に1度開催される「落合陽一サマースクール」のカリキュラムを終えると取得できる卒業証明書のNFTを保有している方に配布される予定です。

*学生生活における体験をNFTで発行〜デジタルで証明するという実証実験に参加している近畿大学の学生へも配布予定

私は参加したDAOで行動しなかったので、意思決定に関わる投票を経験したことがありません。

けれど「落合陽一サマースクール」を主催しているTable UnstableがDAO法人になったことで、「◯の世界」が私たちにどんな可能性をもたらすのかを直接体験する機会を得られそうです。

サマースクールでの体験は、卒業証明書のNFTを保有することで、単なる一時的な思い出として残るだけではなく、将来にわたって価値を持続するものになります。

このNFTは、卒業生がサマースクールで学んだ内容と達成をデジタルで証明するものであり、それによって、卒業生は同窓会に参加できる資格を得るだけでなく、進学や就職の際に必要な推薦状を講師や同窓生から取得する手段も提供されます。

Web3の技術を使うことで、私たちの経験や学びが直接、デジタルの価値に変わり、未来のチャンスへとつながる証となります。

個人の学びや努力、経験が、新たなつながりや機会を生み出すきっかけになる。

Web3はただのツールではなく、私たちの可能性を広げ、個々の未来をより豊かにしてくれるものだと思います。

今月開催される「落合陽一サマースクール2024」には私も参加するので、現地で感じたこと、DAO法人になったことでのこれからの変化など、また改めて共有できればと思っています。

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